官浪の文房具雑学~スキントーン編~

クレヨン、絵の具、色鉛筆から「肌色(はだいろ)」が無くなっていることをご存じでしょうか? 私が子供の頃は、”肌色”のクレヨンや色鉛筆で絵を描いていた記憶があります。肌の色だから「はだいろ」と何の疑問も持たずに呼んでいましたが、1999年に消費者の方から、「差別的だ」という批判が寄せられたことをきっかけに、文具業界団体が集まって「肌色」に代わる色名の検討が行われました。トンボ鉛筆、サクラクレパス、三菱鉛筆の3社での協議で、一般的分かりやすく、語感のよい色を連想しやすく、日本人に馴染みやすいなどの観点から、和名「うすだいだい」英名「Light Orange」への変更を決定し、2000年9月の生産から呼称を「うすだいだい」に変更されました。しかし、よく調べるとぺんてるは、1999年に3社より先行して「ペールオレンジ」と変更されていました。海外での呼び名が「ペールオレンジ」なので、海外に広くシェアを持つぺんてるが、海外での呼び名をそのまま持ってきたらしいです。ちなみに、フェリシモの500色鉛筆では、肌色に近い色を「ポンパドゥール夫人の笑顔」と表現しています。実は日本ではJIS日本工業規格が定める色269の中に、今でも「はだいろ」は残っています。そのなかで私たちが使う身近な製品から「はだいろ」とう色名を使わないことにしたのです。近年、欧米で「スキントーン」という名称で多様な肌の色クレヨンや色鉛筆が誕生しています。日本や欧米ではこれまで肌色というとベージュ系の色が使われてきましたが、世界には40色以上の肌の色があると言われています。アメリカの老舗画材メーカーのクレヨラが、2020年その40色をカバーする24色のスキントーンを集めたクレヨン「カラーズ・オブ・ザ・ワールド」を発売しました。全ての子供達が自分や仲間の肌の色を表現できるように、との思いが込められています。また色鉛筆でもドイツのLYLA社やFILA社からスキントーン12色鉛筆も発売されています。

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