官浪の文房具雑学~原稿用紙編~

「原稿用紙」という言葉を聞くと、少し嫌な思いを持つ方も多いと思います。学生時代に読書感想文や卒業文集などでよく悪戦苦闘したあの用紙です。学生や小説家などが主に使用しますが、小説家などのライターはパソコンの普及であまり使用されなくなりました。原稿用紙は400字詰めと200字詰めがありますが、基本的には400字詰めがよく使われています。また二つ折りになっているものと1枚ものの2タイプがありますが、書きやすさで言うならば折り目がないほうが好まれています。罫線は茶色、緑色が定番ですが、赤や紫もあります。マス目はほぼ正方形で、振り仮名などを記入しやすいように、行と行の間にある程度の余白があります。原稿用紙は文字通り原稿(文章)を書くことに特化した商品です。マス目通りに書けば文字数が数えやすく、ノートなどとは違い一枚一枚切り離せるので、文章の前後を確認しながら書くことができます。原稿用紙は江戸時代から使われていたようですが、一般的に使われ始めたのは明治中期からと言われています。東京・神楽坂にある老舗の「相馬屋」のHPによると「和半紙だった原稿用紙を尾崎紅葉の助言で用紙にして売り出したのが「相馬屋製」。夏目漱石、北原白秋、石川啄木、坪内逍遥といった文豪たちに愛用して頂きました」と記されています。また、同じく東京・浅草の老舗「満寿屋」は万年筆のインクに馴染み、光の反射を和らげるクリーム色の『満寿屋オリジナルの紙』を開発し、川端康成、井上靖、などの大作家の原稿用紙を手掛けたとのことです。その後、さまざまな文具メーカーから原稿用紙が発売され、小学生にも使用されるようになりました。最近では、文具ライターの小日向京さんとじゃばら伝道師のhoririumさんがコラボし、あたぼうステーショナリーから発売されている「飾り原稿用紙」は今までの原稿用紙のイメージを払拭した色やデザインで手書きを楽しむ原稿用紙で、話題を集めています。

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