官浪の文房具雑学~ポスターカラー編~

ポスターカラーは、中・高校の美術の授業で使われるお馴染みの画材です。皆さんも学生時代に使われたことがあると思います。日本におけるポスターカラーの歴史は古く、明治時代にアメリカのカーター社製の「ショーカードカラー」が輸入されたのが始まりだそうです。大正時代に「ポスターカラー」という名称で商品化されました。それからはデザイン用絵の具といえばポスターカラーという名前が定着するようになりました。ポスターカラーは、不透明で高彩度の発色、ムラなく滑らかに塗れるというのが特徴です。塗料の販売会社として1946年(昭和昭和21年)に設立された丸大産業株式会社(現: ターナー色彩株式会社) が、1948年(昭和23年)に発売した「ポスターカラー」は、75年経た現在も広く皆さんに愛用されています。一般的に絵の具は、色を発する顔料と、顔料を定着させるメディウムから成り立っています。一方、ポスターカラーはメディウムに水溶性のアラビアガムなどを使った天然樹脂絵の具で、不透明です。発色の素晴らしさ、筆さばきの良さ、粒子の細かさなど高い品質によって、多くのアーチストから信頼を得ています。グラフィックや服飾、装飾、建築など幅広い分野で活躍する画材です。学校などでも使いやすい、絞り出汁やすいラミネートチューブ式も各社から発売されています。ポスターカラーは耐水性がないので、重ね塗りができなく修正しにくい難点がありますが、下地を溶かすので筆の跡を残しにくく、キレイなグラデーションを作ることができることから、アニメーションの世界でもよく使われています。1955年頃に誕生した「アクリル絵の具」は乾いても耐水性があるので、重ね塗りができます。1956年(昭和31年)には、短期屋外用絵具「ネオンカラー」を発売。一度乾くと水に溶けないアクリル系で、不透明で滲みがなく、ひと筆で下の色が隠せ、ディスプレイ、屋内外看板、舞台装飾などで活躍しています。1982年(昭和57年) ターナー色彩から日本初となる不透明アクリル絵の具「アクリルガッシュ」が発売され、ヒット商品となりました。アクリルガッシュは発色が良く、いろんな素材に塗ることができるという安価ながらコストパフォーマンスが高い画材です。ポスターカラーは水彩絵の具の仲間なので水に弱いですが、アクリルガッシュはマットな仕上がりで乾くと耐水性になる性質があり、国内でいちばん売れている絵の具のひとつとなりました。絵の具などを使って絵画を描くことは遠のいてしまいがちですが、これらの優れた画材を使って素敵な絵を描いてみませんか?

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