官浪の文房具雑学~ドクターグリップ編~

「長時間使っても疲れない」という太い軸にラバーグリップ付きの「ドクターグリップ」が誕生して30年が経ちました。発売当初はその革命的な形状に驚き、私も発売と同時に購入しました。ボールペンは1938年にハンガリー人のラディスラオ・ピロによってボールペンの原形が発明され、1944年にアメリカのエバーシャープ社から発売されました。日本では1947年頃より各社からボールペンが発売となり、その後筆記具の中心として定着していきました。事務作業でボールペンが多く使われるようになりました。しかし当時は細い軸の硬いボールペンが主流だったこともあり、伝票複写での高い筆圧で書く作業により腱鞘炎や書痙などで悩む人が増えてきました。その実態を見た宇土博医学博士は、1980年頃からボールペンの筆圧を研究し、一般のボールペンよりも太い13.8mm軸でプロトタイプを試作しました。このことが広島の新聞記事として紹介され、その後NHKでも放映されたことがきっかけでパイロット社と医師との共同開発で、人間工学に基づくグリップに弾力のあるラバーを使った太い軸のボールペン「ドクターグリップ」が1991年に誕生しまた。発売前は医師とともに開発されたということで「クリニックボール」と名付けられていましたが、その後に「ドクターグリップ」と正式に命名されたそうです。ずん胴でやや不細工な形状、そして当時は80円が主流であったものが500円という高価なボールペンが果たして売れるのか、との不安もありましたが、発売されると同時に爆発的ヒットとなり、当初の予想をはるかに上回る100万本も売れる商品となりました。翌年には学生の需要を取り込んだ、振るだけで芯が出る「フレフレ機構」を搭載したドクターグリップシャープペンも発売されました。2003年には疲れにくさと使い心地を進化させた「Gスペックボールペン」が発売され、再び注目を浴びました。ドクターグリップは昨年発売30周年を迎えましたが、この形状がパイロットのキャッチコピーである「書く、を支える。」に繋がっていることは間違いありません。

フルブラック
メタリックカラー
Gスペックドクターグリップ
30周年記念モデル
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