官浪の文房具雑学~株式会社 中島重久堂編~

1933年 創業の老舗鉛筆削りメーカーである「中島重久堂」。小型樹脂製鉛筆削りを製造・販売する国内唯一の専門メーカーです。1933年 中島幸雄氏が大阪市でダクトロイド樹脂を加工し、ペン軸や煙草パイプの製造として創業しました。1940年ダクトロイド樹脂を削り出し、鉛筆削りの製造を開始。終戦後、プラスチック射出成形機を自社開発し、日本で初めてとなる射出成形による鉛筆削りの製造を開始されました。その後、OEM生産を含め文具業界では小型鉛筆削りといえば「NJK  JAPAN」という認識があるほど、技術力で国内シェア約8割を誇るまでに成長しました。それほどの成長の要因は、社内で設計から製造まで一貫して行っていることです。10μの寸法精度に拘り、指先で刃先の仕上がりを確認。刃と本体を正確に組み立てられています。これは、まさに熟練した職人の技です。2013年 にはジェトロ(日本貿易振興機構) の支援を受け、ヨーロッパ最大級のインテリア&デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ パリ2013」Jスタイルブースに初出展。その最高級の品質が高く評価されました。数年前からは、鉛筆と鉛筆削りの魅力を発信するために“削りかす”に着目し『ペンシルフレーク』と名付け、アートとしての展示を展開しています。「削りかすは、ゴミではない」と中島潤也3代目社長。2015年 には、「もったいない」精神を広げる、短くなった鉛筆を、別の鉛筆につなげて再利用するための鉛筆削り『TSUNAGO (つなご)』を発売。子どもたちが鉛筆という物を大切に使うことを学べる文房具といえます。2020年 Pencil Flake Artとしてデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART  TOKYO 2020」に出展された際に、展示用として透明アクリルケース「ミノルキューブ」が採用されました。そのミノルキューブを製造されているミノル化学工業の押川社長は大学の後輩であることもあり、押川社長とともに先日、中島重久堂を訪問させていいただきました。中島社長から貴重なお話を伺うことができ、鉛筆削り製造の熱い想いを感じ取ることができました。工場見学では、指先で触って刃を調整する熟練の技術が体感でき、人間の目で行う細かいチェック作業が重視された従業員全員の、「NJK  JAPAN」の誇りと責任を持って仕事に打ち込む姿勢に感動。「子どもや孫に使わせて、恥かしい商品をつくりたくない」という思いが伝わりました。日本の品質を世界に届ける、創業90周年 中島重久堂さんの益々の発展に期待しています。



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