官浪の文房具雑学~プリントゴッコ編~

今年もあと1ヶ月となり、年賀状作成をされている方も多いかと思います。ただ、近年はパソコンとプリンターやSNSの普及により、年賀状の発行枚数も大幅に減少しています。年賀状が盛んだった1970年代のイモ版か手書きが主流だった時、常識を覆す画期的な家庭用簡易印刷機「プリントゴッコ」が、理想科学工業から1977年(昭和52年)に発売されました。理想科学工業は、1946年(昭和21年)に謄写版(ガリ版)印刷業にて理想社として創業されました。その孔版印刷の技術を生かした家庭用の孔版印刷機を開発。創業者の羽山昇氏は「すべての家庭で親子一緒に印刷ゴッコを楽しんでほしい」との思いで「プリントゴッコ」と名付けたそうです。紙に文字やイラストを書いたり、イラスト集から切り貼りして原稿を作成し、原稿の上にマスターをのせて光で製版する。そして、マスターの下に用紙をセットして上から押せば印刷完了! という簡単印刷機です。理想科学工業は百貨店や文具店にて、実演販売で商品をPRに努めたこともあり、大ヒット。90年代後半には5世帯に1台というほど爆発的に普及していき、プリントゴッコでの年賀状づくりが年末の風物詩となりました。しかし、パソコンの急速な普及でプリントゴッコの需要は衰退し、2008年に本体の販売を終了し、2012年プリントゴッコ事業も終了となりました。2013年にはプリントゴッコで培った孔版印刷技術の応用でデジタルスクリーン製版機「ゴッコプロ」が発売され、シルクスクリーンの印刷ができることからアートの世界で人気となっています。風合いのあるレトロな孔版印刷ができる新たな家庭用簡易印刷機の誕生を願っています。

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