官浪の文房具雑学~折りたたみナイフ編~

大正時代から昭和30年代まで、鉛筆削りとして使われていた簡易型折りたたみナイフ「肥後守」。しかし、昭和35年に起きた浅沼日本社会党委員長 刺殺事件をきっかけに「刃物を持たない運動」が進んで、子ども達はナイフを持ち歩くことはできなくなりました。昭和40年代に電動・手動の鉛筆削りが各家庭に普及するまでは、安全剃刀ナイフで鉛筆を削られていました。安全剃刀にブリキの柄がついた折りたたみ式のナイフ「ミッキーナイフ」が有名ですね。私も小学生時代、筆箱にミッキーナイフを忍ばせ鉛筆を削ったり、消しゴムを彫ってスタンプにしていた記憶があります。このミッキーナイフは、大阪で1949年に創業された坪米製作所が製造、販売されていた手のひらサイズの折りたたみ式ナイフです。サヤの部分にキラキラと輝く金属板が入っていて、子ども達には大人気でした。坪米製作所は、図工の授業で使われていた「黄色い筆洗バケツ」を製造されていたことでも有名です。一方、関東地区では同じ形状のナイフ「ボンナイフ」が主流でした。これは、東京都墨田区のボン安全剃刀製作所本舗で製造されていました。その後はさまざまなメーカーから同等品を発売。しかし、鉛筆削り器やカッターナイフの普及に伴い、次第に姿を消していきました。坪米製作所は製造を続けてきましたが、2023年に廃業となり、これらのナイフは製造されていません。最近の子ども達は、鉛筆を小型ナイフで削ることができなくなっているようですが、手を怪我することを恐れるのではなく、正確な使い方を学び安全なポケットナイフでさまざまな物を削って遊ぶ創造的能力を養うことも必要なのかもしれませんね。

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