官浪の文房具雑学~ゼムクリップ編~
2枚以上の紙を挟む用途の、針金を曲げて作られたクリップをゼムクリップと言います。皆さんもほぼ毎日のようにお使いかと思います。このゼムクリップは、文房具の中でも使用頻度が高いもので、書類を渡す際に、ゼムクリップを付けて手渡すという循環する性質の文房具です。手元にはいろんな種類のゼムクリップが溜まります。このゼムクリップの「ゼム」って何の意味かわかりますか? これはイギリスの「ゼム・マニュファクチュアリング・カンパニー」という会社が開発したということで、その名前が付けられたらしいのですが、誰が発明したのかは、わかっていません。ノルウェー人のヨハン・パーラーがクリップの形を少し変えて、1899年に特許を出願していますが、ゼムクリップの方が機能性に優れていたので、あまり広まることがなかったのですが、ノルウェーはこの栄誉を讃え、B1ビジネス・スクールに高さ7mものクリップのオブジェをキャンパスに設置したそうです。ゼムクリップの細長い二重ループの形は、単純な構造ではあるが、機能的で「完璧なデザイン」と評され、130年経った現在でも、基本的な形は変わっていません。ゼムクリップが紙を挟むことができるのは、材質の鉄製やプラスチック製どちらも元の形に戻る性質があり、その性質を利用留めています。紙が分厚くなると、挟み切れなくなるので、ダブルクリップなどを用いることとなります。
ゼムクリップは日本の文具メーカー各社から発売されていますが、その形状をよく見ると大まかに3種類あるように思われます。写真(左)は、最もポピュラーなタイプですが、針先が途中に止まっているので、紙を抜き差しする場合に紙を破いてしまう恐れもあります。写真(中)は、ライオン事務器のクリップで、針先を垂直に曲げられているので、紙が引っ掛かる可能性は低いです。また写真(右)は、ミツヤ製のクリップで、針先が長く安定しているので、こちらも紙を破くことはありません。あなたの手元にあるゼムクリップを一度、確認してみて下さい。
さて、130年間変わらない形状だったのですが、この度「リップルクリップ」が誕生! 書類の角を折り曲げたところに挟み込むことで。ページをめくっても外れないというゼムクリップです。この革新のクリップの普及が楽しみです。
写真(上)は、東京・銀座にある伊東屋さんのシンボル「レッドクリップ」です。