官浪の文房具雑学~三菱鉛筆編~

茶色ともエンジ色ともつかないあの独特のワインレッド色の鉛筆「UNI」でお馴染みの三菱鉛筆。その前身は1887年(明治20年)眞﨑仁六氏が「眞﨑鉛筆製造所」として創業されました。1918年(大正7年)色鉛筆製造元である大和鉛筆が誕生し、両者が合併して「眞﨑大和鉛筆」となりました。1901年(明治34年)国産初の「局用鉛筆」を逓信省への納品に成功し、1903年(明治36年)「三鱗」などを表す意味で、三つ菱形を模した「三菱」をロゴマークとして商標登録しました。これは三菱財閥の商標登録に先立つこと15年になり、三菱財閥とは無関係です。1952年(昭和27年)に社名を三菱鉛筆に変更し、現在に至っています。1953年(昭和28年)当時の技術部長であった数原洋二氏が、海外の鉛筆事情を視察するために欧米を巡り、日本の鉛筆の評価の低さを痛感しました。そこで海外から評価されるオリジナリティのある高級鉛筆を開発する決意を抱いて、研究に取り組みました。黒鉛と粘土の粒子をより細かく均一にする技術を確立することに成功し、1958年(昭和33年)国産高級鉛筆『UNI』が発売されました。「Bの濃さでHの硬さ」という最高の品質とともに〝ユニ色〟と呼ばれる高級感を醸し出すワインレッド色が採用されました。1本50円という高価格であったが、発売当初から爆発的人気を呼び、予想をはるかに超えた勢いで売れました。近年では鉛筆の需要が減少していますが、このUNIは現在もなお売れ続けるロングセラー商品となっています。三菱鉛筆はボールペン、シャープペンの開発にも力を入れ、2006年(平成6年)に発売された軽くてなめらかな書き心地と濃くはっきりした筆跡の油性ボールペン『ジェットストリーム』は、年間で販売本数が1億本という超ヒット商品です。また、2008年(平成20年)には、「常に先の尖った芯で書くことのできるシャープペン」として『クルトガ』を発売し、今までのシャープペンの常識を塗り替えました。筆記具のトップメーカーとして大ヒット商品を生み出している三菱鉛筆。次なる画期的な筆記具はどんなものでしょうか?

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