官浪の文房具雑学~オルファ株式会社編~

家庭や職場などで日常生活に欠かせない「カッターナイフ」。実はこのカッターナイフは、日本オリジナルということをご存じでしょうか? 現在では世界100ヶ国以上に輸出され、刃のサイズや折れ線の角度が世界基準となっている、日本が世界に誇るロングセラー文房具です。大阪市内の印刷工場に務めていたオルファの創業者・岡田良男氏は、紙を切る時にナイフやカミソリ等を使っていましたが、すぐに刃の切れ味が悪くなってしまうことに不満を感じ「使い使い続けても切れ味の悪くならない刃物はできないものか?」と考えました。良男氏は、あるアイデアが閃きました。そのヒントになったのは、靴職人が使っていたガラスの破片と、アメリカ進駐軍が持ち込んだ板チョコです。試行錯誤を繰り返しながらカッターナイフの開発に取り組み、1956年に「折る刃式カッターナイフ」の試作品が完成しました。岡田良男氏はこのカッターの製造に乗り出すことに決意し「岡田商会」を設立。町工場に依頼して3,000個を製作し、1959年に商品化されました。ブランドは“折る刃”という言葉から取った「オルファ」に決定。1967年に弟3人とともに「岡田工業」を設立し、カッターナイフの専門メーカーとして本格的な製造と販売に着手しました。1967年にカッターナイフの「L型」と「A型」が発売されました。オルファのコーポレートカラーである黄色が初めてホルダーの色に採用されたそうです。この黄色は目立つ色であるとともに、安全性をイメージさせ、卵の黄身のような温かみのある色が選ばれました。1979年には、ボディの先に円盤型の刃が付けられ、刃を転がして直線のみならず曲線も思いのままにカットできる、世界初の「ロータリーカッター」を発売。1997年に、押手を離すとスプリングで刃が自動的にもどる、安全性に配慮した「セーフティカッター」が発売され、のちにセーフティシリーズの主要商品となりました。また、段ボールの開梱作業の怪我のリスクを軽減する開梱専用カッター「カイコーン」に続き「カイコーンPRO」も発売され、ヒット商品となっています。先日、オルファさんの本社を訪問し、カッターナイフの開発秘話や創業者・岡田良男氏の考え方「オルファイズム」について、貴重なお話をお聴きすることができました。日本が世界に誇る最高品質のカッターナイフを世界各国に届ける、オルファさんの益々の発展に期待しています。

Pocket