官浪の文房具雑学~そろばん編~
近年は電卓やパソコンの普及であまり見かけなくなった「そろばん」。このそろばんは「算盤」の中国読み「スワンパン」が変化したものだと言われています。もともと中国から日本に伝わったものらしいですが、1570年代の「日本風土記」には「そおはん」という表現でそろばんのことが記されているので、その頃に日本に伝来してきたとされています。日本では日本式そろばんが一般的であるが、世界的に多種多様なそろばんがあり、東アジアにも広く存在しています。計算で紙を浪費することがないため、紙が高価で貴重な時期には重宝されていました。紙に雑然と数字を書いて行うよりも、整然と計算でき、その上比較的速く計算することができたとされています。教育においては十進法の概念を理解させるための格好の教材とされることもありました。国語と算数は学問の基礎とされる以前は、「読み書きそろばん」といわれていました。そろばんは、指先を高速に動かすことや盤面を一つのイメージとして捉えることから「右脳の開発を促す」とも言われています。2004年に全国初の「そろばん特区」として尼崎市立杭瀬小学校で実験的にそろばん授業を行ったところ、計算力を含む算数はもちろんのこと、他の教科の成績も上がるという効果が出ました。そろばん授業により、集中力や記憶力が身に付き、学習意欲がでたとのことで、2009年には尼崎市の全小学校でそろばん授業が実施されています。このそろばんは、国内では島根県奥出雲町と兵庫県小野市が二大産地です。奥出雲は「雲州そろばん」として、小野市は「播州そろばん」として広く知られています。珠の素材は、カバノキやツゲが使用されています。播州そろばんは、最盛期の1960年には年間360万丁を製造していました。電卓の普及により現在は年間7万丁と減少しましたが、全国生産の約7割を占めています。1979年にシャープからそろばんと電卓を一体化した「ソロカル」を発売しました。その後あまり見かけなくなりましたが、現在は海外で大人気だそうです。 sdp