官浪の文房具雑学~マスキングテープ編~
本来マスキングテープとは、塗装作業で作業個所以外を汚さない目的で一時的に貼る保護用の粘着テープのことです。自動車の塗装や建築のコーキング等に使われる工業用品なのですが、近年文具雑貨好きの女性などの間で大人気となっています。マスキングテープは1925年にアメリカの3M社の従業員が、自動車の塗装工程において、粘着力の弱いテープの必要性に着目し研究のすえ、開発されたものです。日本では、1938年に日本粘着テープ工業(現 寺岡製作所)が塗装用火薬包装用として和紙製のマスキングテープの製造を始めたのが最初とされています。紙製なので手で簡単にちぎれ、表面に絵や文字が書けることなどの利点を生かしたアートの世界でも注目され、雑貨店や文具店で扱われるようになりました。もともと「リボンハイトリ」でお馴染みのハエ取り紙メーカーとして1923年に創業したカモ井加工紙は、マスキングテープの製造に取り掛かかりました。そして、工場見学に訪れた女性が、マスキングテープをラッピングやコラージュなどに利用していることを知り、彼女たちの話を聞くうちに文具としての需要があることに気づき、研究開発を重ねて2008年に20色のマスキングテープ『mt』を発売しました。発売後、ネットや口コミで一気に広がって、文房具愛好家の間で爆発的人気商品となりました。ラッピングやスクラップブック、ダイアリーのラベルとして、またガラス瓶や家具・壁に貼ったりいろんなアイデアで活用されています。独自の使い方を見つける楽しさがあります。壁や床に貼って装飾できる「mt CASA」やテープ・のりを使わずにラッピングできる「mt wrap」などいろいろなタイプのテープが発売されています。