官浪の文房具雑学~シャープ芯編~

鉛筆の歴史は、1560年代イギリスのボローデル鉱山で良質の黒鉛が発見され、これに手が汚れないように糸を巻いて筆記具として使われるようになったのが始まりとされています。1760年にはカスパー・ファーバーというドイツ人が黒鉛の粉を硫黄などで固めた芯を作りました。そして、1795年にフランスのコンテは、黒鉛の粉末を粘土と混合し、高温で焼き固めて芯を作る方法を開発し、その混合比率を変えることで濃度を調整できることを開発して鉛筆芯(粘土芯)の基本的製法の基礎が確立されました。現在でも基本的には、このコンテの方法で鉛筆の芯は作られています。しかし、初期のシャープペンシルは、芯の品質上の強度から2mmや1.5mmという太さが必要で、より細い芯の強度は低く実用的ではありませんでした。戦後になり大日本文具㈱(現ぺんてる)がノック式のシャープペンの開発に伴っての研究開発により、従来の粘土の代わりに合成樹脂を用いて黒鉛粉末を焼き固めた画期的な芯(樹脂芯)の製法を発明しました。1960年に世界初となる0.9mmのポリマー芯が発売され、1962年には0.5mm、0.7mmさらに1968年には0.3mmの極細芯が発売されました。三菱鉛筆からは、黒鉛に超微粒のダイヤモンドを配合したシャープ芯「ナノダイヤ」を発表しました。芯1本あたりに約4億個のナノダイヤを配合し、強度を落とすことなく滑らかな書き味に仕上げたという。また、ぺんてるから発売された画期的な折れないシャープペン「オレンズ」の発売とともに、0.2mmという超極細のシャープ芯も発売しました。この芯は、シュタイン製法で製造され、滑らかな書き味に加えて強さのテクノロジーを組み入れた全く新しいシャープ芯が誕生しました。進化するシャープペンに伴って、シャープ芯も年々進化を続けています。

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