官浪の文房具雑学~画鋲編~
掲示物を壁面に固定する時に使う、金属製の頭部に鋭い針のついたものを「画鋲」といいます。関西地区では「画鋲」よりも「押しピン」という呼称で親しまれています。関東では金属製の平らな頭部に針のついたものを「画鋲」と呼び、プラスチック製の画鋲を「押しピン」と使い分けされているようです。アメリカでは「サムタック」と呼ばれているものです。この画鋲は、1902年から1903年にドイツの時計職人キルステンによって発明されました。当時はストレートピンを使用していましたが、頭の部分を大きく平らにした方が留める際に指が痛くならない、と気付き作り出したとされています。金属製の画鋲は「二重画鋲」と呼ばれていて、戦時期にレコード盤から取った2枚の円盤の一方に貫通穴を通して、その上にもう一枚貼り合わせる方式で製造され、ツマミが二重になっていたことから、この名前がついたようです。現在では溝だけを入れて実際には二重になっていないものもあります。壁に固定するために深く突き刺すと指先では外しにくいので、専用の「画鋲抜き」も販売されています。プラスチック製の画鋲は、1960年代にアメリカから輸入され、色がカラフルで外しやすいという利点で、1970年代から一気に普及しました。プラスチック画鋲の種類としては、プラスチック製の頭部がダルマ型の「ダルマ画鋲」(または「チェス画鋲」ともいう)と頭部が小さいプラスチック製の球形になっている「マップ画鋲」、軽いものを掛けることができる「フック画鋲」などの種類があります。マップ画鋲は、地図などに突き刺して、位置を表示する用途で使用されています。画鋲は、掲示物を壁面に固定するなどの用途で大変便利ですが、壁面への損傷を防ぐため、画鋲使用禁止の賃貸住宅もあります。外れて床に落ちた場合に足で踏んで怪我をすることもあり、また昔から学校では悪戯でこの画鋲を使うことや、自転車のタイヤをパンクさせるなどの事件にも使用されることもあり、使用方法を間違うと危険なものとも言えます。最近では、コクヨから発売の「プニュプニュピン」は柔らかいゴム製のカバー付きで、指先に針が触れにくく、抜く時は力がいらない、そして落としても針が上に向かず安全ということで、ヒット商品となっています。また、トンボ鉛筆から発売されている針のない画鋲「ペタッツ」は、画鋲のように穴をあけずにペタッと貼れ、キレイにはがすことができ、好評です。