官浪の文房具雑学~スティックのり編~

1967年ドイツのヘンケル社の研究員が、機内で目にした女性が使用していたリップスティック(口紅)の構造にヒントを得て、世界初のスティックのり「プリットスティック」を開発し、1969年に発売されました。従来のでんぷん糊や液体合成のりなどに比べ、手に付きにくく、紙にシワができにくい、そしてすぐに乾くなどの利点があり、たちまち大人気商品となりました。発売当初は38か国で販売され、現在では世界120か国以上に流通され、年間製造本数は1億3000万本以上とされています。プリットスティックが発売されてから、多くのメーカーがスティック糊を発売しましたが、プリットスティックほどのインパクトのある商品は誕生しませんでした。その中で、同じくドイツの老舗糊メーカーであるUHU社(1905年創業)から、「乾燥を防ぐスクリューキャップ付き」という宣伝文句に誕生した黄色いボディの「UHUスティック糊」も根強い人気商品となりました。日本メーカーとしては、1971年(昭和46年)にトンボ鉛筆から「ピットのり」が発売されました。1993年(平成5年)には、『塗って青色、乾けば無色』の「消えいろピット」が誕生しました。この糊は、リトマス試験紙がpHで色が変わるのと同じ原理で、糊は元々アルカリ性で最初は青いが、紙に塗ってしばらく経つと糊が空気中の二酸化炭素をどんどん吸収して中和され無色になる、というものです。またその後、シワなくキレイに貼れるスティック糊「シワなしピット」も発売。水分を抑えたアルコール成分でシワになりにくく、貼ってすぐなら貼り直しも可能です。また薄めの紙にもキレイに貼ることができ便利です。2003年には「パワープリット」がヘンケル社から発売され、多用途の強い粘着とスティック糊の使いやすさを兼ね備えられ、人気商品になっています。プリットのりは、日本では1970年~2016年まではコクヨが供給会社として販売していましたが、2017年からはプラスにて販売されています。スティック糊の今後の進化が楽しみですね。

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