官浪の文房具雑学~ランドセル編~

4月になると、真新しいランドセルを背負った新入学生が初々しく目に映ります。このランドセルの歴史は古く、江戸時代末期幕末の時代に軍用として用いた「背嚢(はいのう)」がルーツだといわれています。背嚢はオランダ語でランセル(ransel)と言い、ここに「ド」が加わってランドセルと呼ばれるようになりました。児童が使用する形になったのは、明治中期の頃です。明治10年に開校した学習院で、8年後の明治18年に両手がふさがらずに使用できる背嚢タイプの鞄を指定したことが始まりです。この頃のランドセルは革製ではなく、布製でした。皮革製が登場したのは、明治20年大正天皇が学習院に入学したお祝いに、内閣総理大臣の伊藤博文が皮革製のランドセルを献上したことがきっかけと言われています。このランドセルは「学習院型ランドセル」と呼ばれています。余談ですが、西日本では追手門学院の前身である大阪偕行社付属小学校が明治21年に開校した時に、ランドセルを用いたことが最初だったとのことです。一般的にランドセルが普及したのは、高度成長期が始まった昭和30年頃からです。昭和60年頃からは人工皮革のランドセルが多く製造されました。また平成に入ってからは、今までの定番「黒」と「赤」に加え、「ピンク」や「水色」などのカラフルなランドセルが発売され始めました。近年は軽さや手入れの簡単さなどを考慮し、人工皮革のクラリーノ製が主流となりました。最近では、プリント類がB5からA4に移行したため、A4クリアーファイルが入るサイズの需要も増えています。また、小学生独自のイメージがあるランドセルですが、ファッションとしての広がりで大人向けのランドセルや、インテリアとして小学生時代に使っていたランドセルを使用した復刻版「ミニランドセル」を手がけるメーカーも出現して話題となっています。

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