官浪の文房具雑学~BiC編~

オレンジ色のボールペンでお馴染みのBICは、フランスに本拠を置き、世界160ヶ国以上で筆記具およびライターを販売するメーカーです。1945年 マルセル・ビックがパリ郊外に工場を買い取り、エドゥワール・ピュッファールと共に会社を設立しました。当初はシャープペンシルや万年筆を製造するメーカーでした。ボールペンはハンガリー人のラディスラス・ピロの手により生まれましたが、当時市場に出回っていたボールペンはインクが漏れて紙を汚したり、胴軸の中で乾いてしまったりするなどの欠点がありました。ビックはボールペンの可能性を予見し、ピロの特許を買い取り、ボールペンに最適なインクの開発に着手しました。そして、1950年に使い捨てボールペン「ビック クリスタル」が誕生しました。ビッ(Bich)という名字から最後の「h」をとり、ビック(BIC)ブランドを確立させました。品質の良さと良心的な価格により、多くの消費者を迎え入れ、初年度だけで2500万本を超える販売本数を記録しました。1961年に誕生した黄色(オレンジ色)軸のボールペン「ビック・オレンジ」は、お馴染みのロングセラーボールペンとして有名になりました。ペン先のボールは当初はステンレス製でしたが、炭化タングステンに代わり、以前よりも細いペン先の製造が可能となりました。BICは一般的なペンとの差別化を図るために、当時採用していたコーポレートカラーである「オレンジ」にし、BICのオフィシャルカラーとなりました。鮮やかなこの色は現在も使われています。発売のこの年、BICは新製品を宣伝するために、ボールペンを背負った小学生のキャラクター「ビックボーイ」を制作しました。このキャラクターは今でも広く使われています。1973年には使い切りライターを発売。現在の一般的な100円ライターと同じ形状でヒット商品となりました。日本には1965年に進出となり、2004年にはビック廣済堂(現:BICジャパン)に販売権が移り、BICジャパンが日本の総販売元となっています。キャップ式のボールペン「ビック・オレンジ」が、今も世界で売れ続けているのは、そんな歴史があるからでしょう。

Pocket