官浪の文房具雑学~赤青鉛筆編~
赤(朱)鉛筆は、多くの方が使ったことがあるかと思いますが、青 (藍)鉛筆は、あんまり使ったことがないと思います。三菱鉛筆の赤鉛筆には「VERMILION」つまり「朱色」と刻印されていて、青鉛筆には「PRUSSIAN BLUE」いわゆる「紺青色」と記されています。その赤(朱)と青(藍)が一本の鉛筆になった赤青鉛筆はご存じでしょうか? 1914(大正3)年発行の眞崎市川鉛筆株式会社(現:三菱鉛筆株式会社)の目録に「月星印朱藍鉛筆」という商品が紹介されていますので、大正時代の初期には売られていたということになります。赤青鉛筆はもともと訂正用鉛筆として作られたそうです。当時は筆記具といえば鉛筆が主流でしたからでしょうね。今でいうと黒・赤・青の3色ボールペンのようなものだったみたいです。鉛筆が登場する前の古代中国では、墨書きが主流で墨書や朱墨が使用されていた記録があり、「赤」は「朱色」を用いていたとされています。その名残が今も使われているということになります。当時は色鉛筆で鮮やかな色を出すことは技術的に難しかったらしく、「青」に相当する色は「紺青色」で、その色が現在も使われているようです。赤青鉛筆は、今でも印刷の現場や新聞社でよく使われています。青鉛筆は「印刷にうつらない」という特性があり、「指定」として、赤鉛筆は「訂正」として使われています。赤:青の比率が5:5のものや、青を使う割合が少ないということで7:3のものもあります。赤鉛筆は競馬新聞の予想チェックで使っているオジサンをよく見かけますね。余談ですが、昔はコーリン鉛筆や三菱鉛筆、トンボ鉛筆などから「黒赤鉛筆」も発売されていた時期がありました。製造工程の違う鉛筆と色鉛筆を合体させることは大変難しかったらしいです。赤青鉛筆は、発色が良い、片手で持ち替えずに書ける、両側から削るという斬新さなどで愛用者が多いため、この先も作り続けられると思います。懐かしい昭和の筆記具という感じがいいですね。