官浪の文房具雑学~シナジーチップ編~

ボールペンは、ペン先を紙面に押し当てながら動かすことでペン先のボールを回転させ、ペン先内部でボール表面に付着したインクを紙に転写することにより、筆記できるという仕組みになっています。そのようなボールペンの書き味を左右するのがペン先、いわゆる「チップ」です。一般的にボールペンのペン先はコーンチップとパイプチップの2種類があります。一般のボールペンの多くにはコーンチップが採用されています。コーンチップは砲弾型とも呼ばれ、円錐状のチップで高筆圧にも耐える安定感があります。一方のパイプチップはニードル(針)チップとも呼ばれています。針のように細長いパイプ状のペン先にボールが入れられているものです。コーンチップに比べて筆記線が見えやすく、細かい文字を書くのに適しています。パイロットコーポレーションは、その2種類のペン先の長所を併せ持ったチップを作りフリクションボールペンにその新しいチップを搭載できないかとのことで、2011年 研究に取り掛かりました。今までのフリクションノックには、インキがたくさん供給できる形状のコーンチップが採用されていました。フリクションインキは粒子の大きいマイクロカプセルが入っているためです。書き出し性に優れ、インキ洩れがなく乾かないチップの開発に試行錯誤が繰り返されたようです。そして、研究開発から5年経った2016年にコーン型とパイプ型の長所を併せ持った新たなチップ「シナジーチップ」が完成しました。ノック式ゲルインキ0.3mm、パステル・メタリックカラーで世界最細0.4mmの「ジュースアップ」です。滑らかに細い文字が書けるゲルインキボールペンとして大ヒットとなりました。そして、当初の目標であるフリクションボールペンへの搭載に研究は進み、2019年 シナジーチップを採用した 「フリクションポイントノック04」が誕生しました。0.4mmという極細ながら滑らかで濃く、書き味は抜群です。今までにフリクションスリム0.38もありますが、さらにくっきりとした文字が書け、定規で線を引いた時もカスレや薄くならない「消せるボールペン」が誕生しました。

シナジーチップ
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