官浪の文房具雑学~おりがみ編~

「折り紙」とは、紙を折って動物や植物などの形を作る日本の伝統文化です。この折り紙用に作られた正方形の用紙のことを「おりがみ」と呼ばれています。古くはその紙を「千代紙」と呼び、千代紙を使って作品を折ることを「折り紙」と言われていたそうです。和紙を使ったもの、あるいは日本伝統の模様を色刷りしたものを「千代紙」、洋紙を使ったものを「おりがみ」と呼ばれていますが、近年は大量の洋紙が出回り、洋紙に和柄が印刷された千代紙もあります。このおりがみの起源は定かではありませんが、平安~鎌倉時代の上流階級の間で、儀礼式の場面で大切な手紙を折り畳んだり、物を包むといった風習が生まれたようです。折り紙遊びが大衆に広く普及したのは和紙が大量に生産されるようになって、気軽に和紙を使用できるようになった江戸時代とされています。明治時代になると、幼稚園教育にも取り入れられ、小学校でも図工などで学ぶようになり、すっかり定着してきました。現在は折り紙が世界各国に広まり、「ORIGAMI」という呼称が海外でも広く使われています。日本伝承の折り紙といえば「折り鶴」ですね。『千羽鶴』は平和や希望、鎮魂や絆、幸運などの言葉の象徴としてすっかりそのイメージが浸透しています。みんなで協力して千羽を折り、糸でつなげて病気の友達のお見舞いなどにもよく使われています。2011年に発生した東日本大震災では、「被災者の人々を元気づけたい」との想いが込められた千羽鶴、何十万羽が世界各地から被災地に届けられたそうです。おりがみメーカーであるトーヨーのHPに「おりがみは指先を動かす功緻性を発展させ、平面から立体への構成力や想像力を高める教育教材です。幼児期にこうした能力を鍛えることが脳の発達に大きく影響し、子どもの知能は高められます。四肢を動かすこと・体のリズム・運動能力などとも密接な関係があり、手先が器用に動く子どもほど社会性でのコミュニケーション能力も高い傾向にあります」と記されています。感性や創造力豊かな子どもに育つようにとの思いが込められた貴重な教材です。文具店で一般に販売されているおりがみは、15cm角ですが5cm、7.5cm、24cm、35cm角のものもあります。久しぶりに鶴を折ってみたくなりました。

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