官浪の文房具雑学~のり編~
昔、人はモノとモノをくっつけるのに「ニカワ」を使っていました。「ニカワ」とは動物の皮や骨をお湯で煮てできる、粘り気のある液体を乾燥させたものです。それを水やお湯で溶かしてのりの代わりに使っていたようです。その後日本ではご飯粒をへらで練ったものを使用するようになりました。小さい頃、ちょっと紙をくっつけるのにご飯粒で付けていた経験がある方も多いと思います。江戸時代にはのりが普及しましたが、米から作ったのりは、すぐ腐って保存できない難点がありました。その後、ドイツののりをヒントに研究を重ね、防腐剤、香料を使ったでんぷん糊「ヤマト糊」が明治32年に誕生しました。お馴染み現行のチューブ入りのヤマト糊は1956年に発売。フエキ糊からは黄色い顔に赤い帽子のキャラクタープラ容器でお馴染みの「どうぶつのり」も発売され、現在も再ブレイクしています。その後石油からできる成分を使用した「合成のり」が誕生。ロングセラーの「アラビックヤマト」は塗り口にスポンジを使用し、手を汚さずに貼れることでヒット商品となりました。発売から30年経った現在でもその人気は変わることなく、液状のりのシェアNo.1をキープしています。1970年代には手に付きにくく、紙にしわができにくい固形のり「ピットのり」をトンボ鉛筆から発売、現在コクヨの「プリットのり」とともに一般向けの糊として普及しています。一方1980年中頃ドイツのペリカン社が「テープのり」を開発し、日本では1997年にトンボ鉛筆から「ピットテープのり」を発売。両面テープが修正テープのように転写されるテープのりは、手軽で使い易いと好評だったが、糊のキレが悪く粘着剤が糸引きするなどの問題もありました。そこでコクヨは粘着のりが面ではなく点で作られた「ドットライナー」を開発し、大ヒット文房具となっています。欧米ではこのテープのりが主流になっているそうです。これから先どんな糊が誕生するのでしょうか?