官浪の文房具雑学~輪ゴム編~

輪ゴムの歴史は1820年、のちに加硫ゴムの発見者の一人として知られるイギリスのトーマス・ハンコックが、中南米の先住民が使用していたゴム製の袋を薄く輪切りにすることが、靴下や服の袖を留めるのに利用できることを発見したことに始まります。日本では、大正12年、「オーバンド」で知られる共和の創業者・西島廣蔵氏が自転車のチューブを薄く切り、輪ゴムとして生産したのが国産第一号の輪ゴムであり、日本銀行が紙幣を束ねるのに採用したとの記載があります。黒バンドは自転車のチューブを、大根を刻むように輪切りにするので、比較的簡単にできたが、西島氏は作業効率がよく製造価格も安くできる熱加硫方式で透明バンドを作ることを決意しました。そして研究を重ねた結果、尿素系促進剤を用いて少量の硫黄とともに加硫することで、伸びが良く、美しいバンドを作ることに成功した。日本初の透明丸形バンドは評判がよく、大ヒット商品になりました。現在、日本全国で使われる輪ゴムはおよそ5000トン、標準の#16に換算して約340億本というとてつもない数になっています。ちなみに輪ゴムの規格は数々ありますが、一般的に使用されている輪ゴムは#16で、内径38ミリ、折径60ミリ、切り幅1.1ミリ、厚み1.1ミリで、100gの箱には約680本の輪ゴムが詰められています。用途に応じたさまざまなサイズの輪ゴムの種類があります。近年は、輪ゴムも多様化し抗菌加工を施したり、カラフルな「カラーバンド」や袋やケーブル等を束ねる「たばねバンド」なども発売されています。東京・浅草橋のデザイン工房アッシュコンセプトが開発した「動物輪ゴム」は、アメリカで人気を集めています。

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