官浪の文房具雑学~万年筆編~
万年筆の歴史は古く筆記具の主流とされていましたが、安価で低筆圧筆記具のボールペンの登場であまり利用されなくなりました。しかし、最近は再び万年筆の独特の風合いが見直されて注目されるようになりました。万年筆の原型はエジプトのムイッズが衣服と手を汚さないペンを欲したことか953年に発明されたといわれています。1809年にはイギリスのフォルッシュが空気交替によりインキを軸内に貯蔵できるペンを考案し特許を取得。その後、アメリカのウォーターマンが1883年に毛細管現象を応用したペン芯を発明したことが万年筆の礎になりました。ドイツでは1907年ハンブルクで商人達が集まって万年筆の製作を開始し、シンプロ・フィラー・ペン社が高級万年筆「モンブラン」を発売しました。1910年に日本では1895年丸善が日本で初めてウォーターマンの万年筆を輸入して販売。国産メーカーとしては1911年に坂田久五郎が製造販売し、坂田製作所(現・セーラー万年筆)を創業。1916年には並木良輔が純国産14金ペンを完成し、並木製作所(現・パイロットコーポレーション)を創業し、1919年には中田俊一が万年筆事業に着書し、中屋製作所(現・プラチナ萬年筆)を創業しました。ペリカン社は1929年に発売開始し、アメリカのクロス社は1930年に万年筆製作に着手するなど、多くの万年筆メーカーが発売を開始しました。1957年、プラチナ萬年筆はインク出を自動調整するペン芯を開発し、カートリッジ方式の万年筆を初めて実用化に成功しました。1963年にパイロット萬年筆は、世界初となるキャップのない万年筆「キャップレス」を発売し、話題を集めました。最近は子どもや初心者向けの万年筆としてペリカンから「ペリカーノジュニア」やパイロットから「カクノ」
が発売され、低価格で万年筆に親しむことができるようになりました。