官浪の文房具雑学~パイプファイル編~

ファイルは、書類を整理し、活用、保管するためのもので、事務作業には欠かせない文房具のひとつです。特に企業などでは多量の書類を整理、保管する必要があります。多量の書類整理に使用されるのは、パイプ式ファイルです。本体にパイプが取り付けられていて、そこに芯の入った留め具を差し込み固定するタイプです。容量もコピー用紙で300枚~1000枚と大きいため書類の長期保管には最適です。ただ欠点としては、大きいために嵩張り、持ち運びには適さないということです。パイプ式ファイルを初めて発売したのは、キングジムで1964年(昭和39年) に「Gファイル」が誕生しました。それまでは、多量の書類を綴じる場合、書類を千枚通しで穴を明け、そこに紐を通して綴じ込むというのが一般的だったために、このGファイルはパイプに差し込むだけで簡単にとじることができることから、爆発的な人気商品となりました。その後、1970年(昭和45年)には、ライオン事務器が「パイプ式ファイル」を発売。また、1974年(昭和49年)にはコクヨから「チューブファイル」が発売され、多数のファイルメーカーが参入しました。ただ、先に綴じ込んだ書類を一方向からしか外せない構造だったために、先に綴じ込んだ書類を取り出そうとした場合、新しい書類も一緒に取り出せなければならないという難点がありました。そこで、キングジムは左右どちらからでも開閉できるパイプ式のファイルを開発し、1975年(昭和50年)に製品化しました。それが「ドッチファイル®」であります。ちなみに「パイプファイル®」「ドッチファイル®」とともに登録商標となっています。この両開きタイプは画期的であったので、パイプ式ファイルの需要を大きく伸ばしました。キングジムはその後、表紙と綴じ具を容易に分別処理できる環境に配慮した「スーパードッチファイル」なども発売、また最大1500枚収容可能な、取っ手付きのメガ綴じファイル「スーパードッチファイル〈特厚〉」も発売されています。パイプファイルは、最初に発売された1964年から見た目はほとんど変わっていません。背表紙には正方形があり、色で分類できるようになっていて、テレビドラマなどでも多く採用され、オフィスでお馴染みの顔となっていますね。

Pocket