官浪の文房具雑学~アームの筆入れ編~

「象が踏んでも壊れない!」というインパクトのあるCMで大ヒットした『アーム筆入れ』。昭和30~40年代に小学生だった方々には、懐かしい文房具でしょうね。筆入れ(筆箱)は、当時の小学生にとって宝箱のような存在でした。戦後間もないころの筆入れはセルロイド製でした。昭和30年代には、プラスチック製の筆入れが主流でした。セルロイド製の筆入れは、耐久性に劣る点と、発火しやすいという難点がありました。一方で、プラスチック製筆入れは燃えにくかったが、落としたり踏むと簡単に割れるという欠点がありました。サンスター文具の商品企画を担当していた伊藤さん(現社長)が目指したのは「落としても割れない丈夫な筆入れ」でした。そんな時、テレビを見ていたら、湘南の暴走族が信号に向かって石を投げている。しかし、石が当たっても信号機のランプは割れない。ガラスなら簡単に割れるはずなのに・・・警察に問い合わせると、信号機のランプは耐衝撃や耐熱性に優れた「ポリカーボネート」が使用されていることが分かった。そこで伊藤さんは、この新素材ポリカーボネートを使用した筆入れを開発ことに着眼し、研究を続けた。そして、1965年(昭和40年)にサンスター文具から合わせ蓋式の箱型筆入れ「アーム筆入れ」が誕生し、爆発的なヒット商品となりました。発売から2年後より「象が踏んでも・・」のTV宣伝を開始。5~6年後には年間500万個を販売する商品になりました。現在でも、約10年前から「NEWアーム筆入れ」が発売されています。鉛筆ホルダーが付いた中皿があるのは同じだが、プッシュアップ式の上蓋を採用しているところが変わった点です。また、近年ではエコロジーの観点からもアーム筆入れが注目されています。大阪の追手門学院小学校では、6年間使える筆入れとして、学校指定教材で全校生徒が使用しています。

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