官浪の文房具雑学~ポストイット編~

糊付きの付箋紙「ポスト・イットR」は、アメリカの化学メーカーである3M社によって開発されました。1969年3Mの研究者スペンサー・シルバーが接着力の強い接着剤を開発中に、失敗して「よくつくけれど、簡単に剥がれてしまう」という奇妙な接着剤を作ってしまいました。この弱い接着剤は用途が見つからなかったのですが、「これは何か有効に使えるに違いない」と彼は判断し、新しい用途開発ができないだろうか、と研究を重ねました。そして1974年に別の研究員アーサー・フライが本の栞に応用できないかと思いつき、「のりの付いた栞」の開発に取り掛かりました。しかし、実際に製造技術を開発しようとすると、いろんな問題が発生し研究は難航しました。2年以上の時間をかけて試行錯誤した上に、ようやく1977年ポスト・イットRの試作品が完成しました。テスト販売では苦戦するが、大手企業の秘書課に「とにかく使わせる」ことを目的としたサンプリングが実り、1980年に全米発売の決定が下されました。1981年日本でも住友スリーエム(現スリーエムジャパン)が販売を開始しましたが、全く売れない状況が2年も続きました。そこでアメリカの例にならって、女性をターゲットにして企業や街頭でサンプリング作戦を実行し、配られたサンプルは60万袋。その甲斐もあって徐々に注文が増え始めました。日本での消費者の要望は「付箋として使えるサイズが欲しい」というものでした。この日本独自の要望に応えて、紙の先端を赤く塗った付箋紙タイプを販売したところ、爆発的に売れました。いちいち糊を付けければならない付箋紙よりもはるかに便利だからでした。以降ポスト・イットRは、世界中に広まり、面積の大きいものや全面のりタイプなどのバリエーションとともに、蛍光色をはじめ様々なカラーも登場し、オフィスの必需品としてゆるぎない地位を確立しています。最近では、フィルム素材の透明見出しタイプ、メッセージタイプのものや、つきにくい所にもしっかり貼れる強粘着タイプも登場し、売れ続けています。「ポスト・イットR」は、失敗から生まれた大ヒット商品として有名ですね。

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